こんばんは、ダーレクです。
タカノヒトさんから不意にバトンを受け取ったので、楽曲のタイトルについて掘り下げてみたいと思います。
その昔に「曲名が出てくる率」くらいは調べた気がしますが、今やそのパーセンテージや一般公開したかどうかも忘却済み。ここで再考の機会をいただけて助かりました。
ただし、そのまま模倣をしても似たような結果が出るだけですし、この記事ではタイミングよりも「回数」にフィーチャーしてみることにしましょう。
【軽いレギュレーション】
- 歌詞の表記上ではなく、実際に原曲で歌われている回数なのがミソ。一度の表記で複数回読まれるケースも少なくありません。
- 日本語由来のカタカナ曲名も結構ありますが、明らかに「同音同義語」だと判断できるものはカウントしています。(“名も無き人”、“陽が沈む”、“化け物”など)
- 逆に「同音異義語」はカウントしていません。(『抒情死』の“抒情詩”、借“リタ”物は返すからなど)
- 秋田ひろむ(amazarashi)名義と言えるものを調査対象としました。線引きが難しいインディーズ限定曲には触れないものとします。
- Top10と書きつつも〇位タイで欠番を生むシステムが嫌いなので、バンバン繰り上げて計27曲を「上位入賞曲」としてランクインさせています。
- 第1位:24回
- 第2位:22回
- 第3位:20回
- 第4位:16回
- 第5位:13回
- 第6位:12回
- 第7位:10回
- 第8位:9回
- 第9位:8回
- 第10位:7回
- 11位以下の楽曲
- まとめ:分布、比率、感想など
第1位:24回
『フィロソフィー』
僕は僕の〜問いを解いて〜君は君の〜君だからこその〜
フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!
フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!
フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!
フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!フィーロソッフィ!
ラスサビで怒涛の12連発。
耳の痛い弱音や押し付けがましい激励がブレンドされており、噛めば噛むほど異質なメッセージだったと思えてきます。アップテンポな応援歌のくせに2番のサビとか笑えないですよ。
絶望的な正論に僕がムカつかないように「※あくまで哲学的なアプローチです。」と釘を刺していたのかな〜という新解釈が今日生まれました。
『アダプテッド』
6の倍数で爆増していく点はフィーロソッフィと共通していますが、こちらは主にAメロの〆に連呼しています。
秋田日記で歌詞を眺めていた頃は、まさかこんなに「アダプテッド!」する楽曲になるとは予想もしていませんでした。
やはり気になるのはワードに込められた意味ですが、これに関しては秋田さんご本人に尋ねたところでモヤっとした答えが返ってきそう🤔
第2位:22回
『奇跡』
かつて頻出二字熟語ランキングでも全曲平均を押し上げた『奇跡』が曲名カテゴリーでも爪痕を残しました。
「奇跡」がありすぎてもはや奇跡に意味なんて無くね?という『ラブソング』に負けず劣らずの皮肉がこうして物理的にも反映されているのには納得感があります。
第3位:20回
第4位:16回
『デスゲーム』
個人的に最も意表を突かれたランクイン。各サビに4回ずつと最後の最後にもう4回叫んで、なんやかんや16回になるんですねぇ。
改めて聴いてみても曲名を連呼している印象より、真っ向から棘を刺してくる歌詞の節々に気を取られちゃいます。
生で聴いてみたいなぁ…と最近も書いた気がしたのは、余裕で一年前のライブ先行披露ランキングの記憶でした。マジで早く聴かないと先に人生終わっちまうぞ。
『もう一度』
こちらは元々サビで繰り返している印象があったので、概ねイメージ通りの順位でした。1〜3番のサビに5回ずつ盛り込まれていて、最後の1回を加えて16回。
この楽曲も『奇跡』と同じように、曲中で「もう一度!」と繰り返すことに意味を感じています。初期衝動を見てきた人々からすれば本当に眩しい歌なんでしょうね。
第5位:13回
『穴を掘っている』
AメロとCメロで数を稼ぐ珍しいタイプ。というかサビに全く頼っていない中では最も高順位です。
個人的には“虚無病ライブ”を実家のリビングで鑑賞していた当時、母がしきりに「穴〜を掘っている〜^^」と口ずさんできた思い出があります。一番頭に残るフレーズだったそうで。
『馬鹿騒ぎはもう終わり』
いよいよ諸説ある楽曲がランクインし始めます。というのも今回の場合、音源によって「馬鹿騒ぎはもう終わり」と歌う回数が異なるんですよね。
オンラインライブ「末法独唱、雨天決行」にて披露された弾き語り版では、ラスサビの1回増量サービスが無く、計12回で着地していました。
余談ですが、僕はより儚さを感じられる少ない版の方が好きです。逆に『アルカホール』は最後だけ増やしてほしかったと思っています。
『ディザスター』
Aメロ「青年のディザスター」以外は全て豊川さんパートということで判断に迷いましたが、よく考えたら「空に歌えば〜」を普通にカウントしているのでそれに倣うことにしました。
これまた曲名を見た段階では、まさかこんなに連呼する楽曲だとは思いませんでしたね。『ディザスター』って相当重たいワードのはずですし。
第6位:12回
『アノミー』
4回×3セットの計12回。『デスゲーム』から最後の4回を除いたような構成です。
語感の派生系みたいな『アンチノミー』は半分の6回止まりでしたが、「68億の罪も抱いてよ アンチノミー アンチノミー」って替え歌が全然いけたので、小回りの利きやすさよりも生まれついた曲調で差がついただけっぽいです。(?)
『スターライト』
インディーズ時代に作った曲では珍しい、カタカナ語を英語のリズムで歌い上げた一例。
歌詞に書かれていない部分でも「イェーッヘ!」と計8回叫んでいるため、仮にここも「スターライッ!」で埋め尽くされていれば、20回の大台に届いていたことになります。(違和感すごそう)
第7位:10回
『令和二年』
サビの右側(?)に登場するのは直近2曲と同じですが、今度は2連詠唱をしない代わりに「おおえーえーえーえー令和二年っ」という呪文が付いてきました。例によってラスサビに1回増量サービスがありますね。
この6拍だけ延ばしてブツっと間奏にシフトする手法は、何気に意味わからんくらい激レアケースです。普通やるにしても「火種はあの日の呪いだ」みたく“4の倍数拍”でねじ込むのに。
第8位:9回
『タクシードライバー』
サビのよく喋る部分をサンドイッチするように「タクシードライバー!」が3回×3セット。3番Aメロの「運転手さん」を合算したくなる気持ちは抑えました。
そもそもこれはBメロなのか、サビの一部を前借りしているのか、そんな名状しがたい曲構成も『タクシードライバー』の魅力の一つだと思います。(?)
『スワイプ』
中盤まで不穏なニュースと生活の歌だったのが、3番Cメロ(?)でようやく「スワイプ」という概念をチラつかせ始めて、最後の最後にエンジン全開で本性をぶちまけてくるカタルシスが堪りません。
無論、クライマックスに待ち構える「今日をスワイプ!」の8連撃がこのランキングにおける主砲です。切羽詰まった直線メロディーからもいい出汁がとれています。
第9位:8回
『夏を待っていました』
“曲名≡サビの歌詞”という音楽界でも稀有な曲構成を持っています。
(僕の知る限り)秋田さんの軌跡上では、友川カズキの『生きてるって言ってみろ』『武装に足る言葉などないのだ』辺りがこのスタイルの草分け的存在ではないかなと。そして某悲しみのやつに受け継がれていったわけですね。
この第9位では全体的に1、2、3番で2、2、4回ずつタイトルコールする組み合わせが多かったです。特にサビの〆として。
『ハルルソラ』
今回はアウトロ部分の「晴るる空 ルララ」まで全加算したスコアですが、ここは今まで以上に解釈が分かれるところでしょう。実際、主旋律と被っている2回分をライブでは歌っていませんからね。
この辺は『ディザスター』同様に線引きが難しく、困ったら最大限寄り添っておけばいいかという判断で第9位に並べてみました。
『祈り』
「ラブソング」のリリース以前にタイトルを公開していた影響か、同アルバムで唯一カタカナ化しなかった特別なポジションの楽曲。
普遍的な曲名ゆえに意識したこともありませんでしたが、ぬるっとサビの歌い出しで2回ずつ稼いでいたみたいです。
最後の最後、初心に帰って「祈りは!祈りの!まんまで!」が添えられたことがランクインの決め手となりました。
『ヒガシズム』
サビの歌い出し「ヒューマニズム 陽が沈む〜」とCメロ「夕日信仰ヒガシズム」の合算でランクイン。
実は「実存 実存 実存〜」がフィーロソッフィと同じ配分で24回出てくるので、もしも曲名が『実存』だったら第1位タイに輝いていたことになります。
『名前』
脈略のない決めゼリフを連打するわけでもなく、ひたすらに「名前」の話をし続けることで堅実な順位につきました。
確かに“短い一般名詞”ほどランキングでは有利に働きそうなものですが、むしろ「なまえ」という語感やリズム感が大して気持ち良くない言葉では、ゴリ押しの機会を設けづらくかえって不利だったような気もしてきます。
『僕が死のうと思ったのは』
知名度やインパクトも相まって、このジャンルでは僕死を最初に思いついたという人も少なくなさそう。
『穴を掘っている』に次いで、曲名そのままのフレーズをオク下とオク上で2種類持つ選ばれし存在です。
あちらが現在進行形を冠している都合上、Cメロのヤケクソ4連穴掘りに張り合う手段がなくて激戦区に置いていかれてしまった印象。
『ぼくら対せかい』
amazarashiの常套手段と言える“サビ→タイトルコール”の流れで、2・2・4の計8回。敢えてのひらがなが象徴的ですね。
ラスサビ3〜4回目の静寂に包まれた「過去 未来 ぼくら対せかい」と次の瞬間、なぜか非和声音に突っ込んで終わる突拍子のなさが癖になります。
『帰ってこいよ』
またもや2・2・4軍団の一味。ラスサビの3回目でちょっと張り切るところも『夏を待っていました』を彷彿とさせますね。
その周だけ「何か成し遂げるとも、成し遂げずとも」がスキップされて残るスカスカの余白からは、何にも代えがたいわびさびを摂取することができます。
『そういう人になりたいぜ』
歌詞における立ち位置は『令和二年』と似ているものの、「そういう君が好きだから」に言いたい事の何割かを持っていかれたのがランキング的には痛手でした。どちらも大切な言葉です。
実はタイトルが連続しているのはラスサビ後のみ。Cメロを経て感情が昂ったからこその「そういう!人に!なりたいぜ!」は編曲も相まって僕もそういう人になりたくなります。
第10位:7回
『吐きそうだ』
「ていうか二日酔いでもう吐きそうだ」のくだりが歌い出しに1回、各サビでは2回ずつ繰り返されて計7回に収まりました。
上記フレーズを中心に、amazarashiの中でもぶっちぎりの低音域で進行するのが最大の特徴。何と言ってもカラオケで重宝するので、こういう低音曲にはもっと増えてほしいのが本音です。
『ヒーロー』
各サビで2、2、3回の計7回。
体感ではもっともっと連発しているイメージだったのですが、サビで韻を踏みまくっているのが原因だったみたいです。まんまと惑わされていました。
そういえば曲名で韻を踏み続ける楽曲って意外と少ないですよね。局所的な『ヒガシズム』や『夕立旅立ち』がめちゃめちゃ頑張っているくらいでしょうか。
『バケモノ』
歌詞中では「化け物」と表記されており、カタカナ統一アルバムでもないのに曲名だけ可愛らしくなった理由は特に明かされていません。
『名前』同様にサビで繰り返すような稼ぎ方をせず、コンスタントにその名を呼ばれて順位を上げていきました。最後Aメロに戻ってしんみり終わる構成なのも共通点。
11位以下の楽曲
4回
渋谷の果てに地平線、冬が来る前に、アポロジー、終わりで始まり、夜の一部始終、ヨクト、星々の葬列、明日には大人になる君へ、命にふさわしい、幽霊、リビングデッド、アイザック、拒否オロジー、死んでるみたいに眠ってる、積み木、かつて焼け落ちた町、カシオピア係留所
(計17曲)
3回
つじつま合わせに生まれた僕等、初雪、夏、消息不明、隅田川、クリスマス、ポルノ映画の看板の下で、この街で生きている、空っぽの空に潰される、美しき思い出、ナモナキヒト、ハレルヤ、風に流離い、ジュブナイル、それはまた別のお話、自虐家のアリー、スピードと摩擦、多数決、分岐、エンディングテーマ、花は誰かの死体に咲く、月曜日、月が綺麗、さよならごっこ、とどめを刺して、夕立旅立ち、東京、境界線、火種、下を向いて歩こう、ごめんねオデッセイ、まっさら
(計31曲)
2回
逃避行、ラブソング、カラス、ひろ、百年経ったら、しらふ、リタ、太陽の羽化、海洋生命、君はまだ夏を知らない、スプリンター
(計11曲)
1回
ムカデ、ワンルーム叙事詩、コンビニ傘、おもろうてやがて悲しき東口、ナガルナガル、アイスクリーム、性善説、冷凍睡眠、生活感、季節は次々死んでいく、ワードプロセッサー、水槽、間抜けなニムロド
(計13曲)
0回
光、再考、よだかの星、少年少女、無題、爆弾の作り方、カルマ、ポエジー、真っ白な世界、理想の花、ピアノ泥棒、古いSF映画、夜の歌、千年幸福論、遺書、14歳、未来づくり、セビロニハナ、**、僕は盗む、パーフェクトライフ、まえがき、あんたへ、匿名希望、ドブネズミ、あとがき、雨男、後期衝動、或る輝き、風邪、ライフイズビューティフル、収束、虚無病、数え歌、月光、街を焼く、たられば、ハルキオンザロード、独白、マスクチルドレン、抒情死、曇天、鴉と白鳥、感情道路七号線、ロストボーイズ、アオモリオルタナティブ、1.0、空白の車窓から、心層廃棄物、インヒューマンエンパシー、自由に向かって逃げろ、俯きヶ丘、クレプトマニア、Today
(計52曲)
まとめ:分布、比率、感想など
24回:2曲
23回:
22回:1曲
21回:
20回:1曲
19回:
18回:
17回:
16回:2曲
15回:
14回:
13回:3曲
12回:2曲
11回:
10回:1曲
9回:2曲
8回:9曲
7回:4曲
6回:8曲
5回:8曲
4回:17曲
3回:31曲
2回:11曲
1回:13曲
0回:52曲
(平均値:約3.6回)
冒頭で忘れ去っていた「曲名が出てくる率」ですが、全167曲中、曲名ありが115曲、曲名なしが52曲。
それぞれ約69%と約31%という結果になりました。(言われてみれば昔も7:3くらいだった気がしてきた)
中位以下の階層では、10年以上前のメンツから記憶に新しい楽曲まで、新旧入り交じっている様子が印象的でした。時代ごとの特徴っぽいものは特に見受けられなかったでしょうか。
『ポルノ映画の看板の下で』『月曜日』『境界線』などサビの歌い出しで必ず通るイメージの強かった楽曲でも、いざ数えてみればきっちり3回止まりだったりするんですよね。
0回のグループにも惜しい例はいくつかありまして、代表的なのは「完璧な人生」「人生は美しい」など日本語訳すれば実質言ってるじゃねーか!って歌詞、そして「匿名を希望」「逃げろ、自由に向かって」のような言い回しの問題シリーズ。
検証前から気になっていたのは『マスクチルドレン』『ロストボーイズ』など、曲中の一人称が「僕」なのに曲名だけ複数形になってるケース。外見の情報だけでこちらを巻き込んでくる名付け方が斬新だなあと。
ちなみに、短編ポエトリー曲では『春待ち』の6回が最多記録。おめでとうございました。