中学〜高校卒業まで英語の成績はずーっと3でした、ダーレクです。
どうやら『令和二年』MVには公式の英語字幕が付いているようなので、原文との表現の違いを調べてみました。
書き出したものを僕の再翻訳と共にご紹介します。
(元の歌詞を知っているので流石に大きなミスは無いはず!)
Got ready to leave, heard someone calling
出発の支度をした、誰か呼んでいるのが聞こえたA passion far short of the real passion
真の情熱には遠く及ばない情熱Today is a sunny day, the wind sounds hoarse
今日は晴れの日、風はしわがれて聞こえるIt was supposed to be the day to take off
旅立つ日になるはずだったYour humming is, for once today, like background music of this town
君の鼻歌は、今日だけは、この町のBGMみたいSounding helpless through a mask
マスク越しに頼りなく聞こえるUnachieved dreams, knowing it's inevitable
遂げられない夢達、やむを得ないと知っているI just glare up at the sky, in Reiwa ni-nen
ただ空を睨み上げる、令和二年にてMovie premieres, tours for new releases
映画の封切り、新譜のためのツアーCancelled entrance ceremonies, in Reiwa ni-nen
中止になった入学式、令和二年にて
A song toying with irritation and spare time
焦りと暇を持て遊ぶ歌Because it's not physical, it hurts even more
物理的でないから、さらに痛むIt's not sad at all, it's not fun at all
ちっとも悲しくない、ちっとも楽しくないEmotions lying dead in front of the house
軒先で倒れて死んでいる感情Playing catch on a sidewalk,
歩道でキャッチボールをしている、children's smiles and imbalance(ん?)
子供達の笑顔と不均衡We get hungry even at a time like this
こんな時でも僕らはお腹がすくJust seeing you off to grocery shopping
ただ食料品を買いに行く君を見送っているIt makes me worry, in Reiwa ni-nen
それが僕を心配にさせる、令和二年にてI wonder why you hesitate to close a curtain(あれ?)
何故君はカーテンを閉めるのをためらうのだろうYour back against the setting sun, in Reiwa ni-nen
夕日を背景に君の背中、令和二年にて
I could be nice to you,
君に優しくすることができる、I could also hurt you
君を傷つけることもできるIf I could be a weapon and a cure,
武器にも薬にもなれるなら、I wonder which I'd choose
僕はどちらを選ぶだろうChanging, in the corner of the world, dividing, individual microcosmos
変わる、世界の隅っこで、分け合う、個々の小宇宙Our hearts should have a way to connect, so answer me
僕らの心は繋がる術を持つべきだ、だから応答してCherry blossoms in a closed park,
閉鎖している公園の桜、bloomed without being seen
見られることなく咲いたWhat a shame, what a shame
残念だな、残念だなI thought we made a promise
僕ら約束したと思ったのにWithout a job, money is the first thing you need
仕事なしでは、まず君には金が必要だThe public got abandoned, in Reiwa ni-nen
見捨てられた市井、令和二年にてThe future is uncertain, “but it's alright”
未来は不確かだ、「けど大丈夫」Reiwa ni-nen made a liar out of me
令和二年が僕を嘘つきにした
英訳の日本語訳を考える過程で新たな気付きが結構ありました。
例えば「頼りなさげなマスク越し」で頼りなかったのはマスクじゃなくてマスク越しの君の鼻歌だったこと。「悲しくないね 楽しくないぜ」が行き倒れた感情を匂わせていたことも。
文末の「〜ね」と「〜ぜ」は、微妙なニュアンスの違いが英語では消滅していました。“it ain't fun at all”だと急に乱暴すぎるんでしょうか。
「繋がる術を持つ僕らの 心 応答せよ」「僕に嘘をつかせた令和二年」等はもはやゴリゴリの意訳が施されているんですよね。前者のフレーズはぶっちゃけ英訳ver.の方がグッときました。笑
※審議1
この“children's smiles and imbalance”という訳、確かに日本語にしてしまえば「子供らの笑顔と不均衡」ではあるのですが、僕はかなり強烈な違和感を覚えています。
「子供らの笑顔&不均衡」と書けば伝わりやすいでしょうか。何だその取って付けたような不均衡はw
んな訳あるかと。
この歌詞、秋田日記に公開された時点では「子供らの笑顔が不均衡」と表現されていました。
この段階では明らかに「不均衡」という言葉が笑顔に関与しています。それが音源化された途端に置物になるとは思えません。
僕の推測では、
変更前は「子供らの笑顔が(僕らの不安な気持ちと)不均衡(である)」という意図があったものの、
日本語的に「子供Aと子供Bの笑顔の具合が違う」とも受け取れてしまうから今の歌詞になったのかなと。(伝われ)
そうして誤解を招かないように修正したはずが、何故かオフィシャルに機械翻訳をかましてしまうという…。
僕の解釈で行くなら正しくは“children's smiles are imbalanced”でしょうか。(結局これも子供A子供Bになってる気がするけど…)
※審議2
“I wonder why you hesitate to close a curtain”
(何故君はカーテンを閉めるのをためらうのだろう)
いやいやいやいや!
君を見送る(外)
↓
君がカーテンを閉めるのをためらう(内)
↓
夕日に君の背中(外)
豊川さんが瞬間移動しまくってゲームのバグみたいになってます。
ともすれば直後の「夕日に君の背中」というフレーズまで室内だと解釈されていないか。疑問と不安がよぎります。
Your back against the setting sun,
“君の背中”と“夕日”を繋ぐ前置詞“against”を念押しで調べまくったところ、「…を背景として」という訳が有力でした。これは外判定でしょう。
そしてこのフレーズも実は、秋田日記の「夕日に溶ける背中」から変更されたものでした。奇遇ですね。それとも必然の一致でしょうか。
この表現もさっきの背景のくだりと重なる部分があります。もちろん場景が丸っきり別物になるとは考えにくいので、この2番のサビでは「君」が出かける一連の流れを歌っているものとして間違いなさそうですね。
それらを踏まえると、カーテンを閉めようか迷っているのは語り手なのだと考えた方が自然です。youを“I”に変えましょう。
I wonder why I hesitate to close a curtain
何故僕はカーテンを閉めるのをためらうのだろう
おわり
これを翻訳した人、僕より英語は知ってるんだろうけど僕よりamazarashiは知らないんだろうなって思いました。非公式なら普通に仕方ないけど、これに関しては絶対ボランティアではないし。
英訳ミスといえば『命にふさわしい』の一節“Asphalt over dirt, skin over steel(土よりアスファルト 鋼鉄より人肌)”を数年前から再三ネタにしていますが、他にもこういった悲しい訳が紛れていたりするんでしょうか。気が向いたら続編も作ってみますかね。
以上、「社会人になったらamazarashiの専属翻訳家になれるように頑張ろう」と思わなくもないような話でした。
P.S. amazarashi公式YouTubeチャンネル登録者50万人おめでとう🎉