こんばんは、事あるごとに『命にふさわしい』を推しているダーレクです。
ちょっと励ましの言葉が欲しい時も、極限まで落ち込んでる時も、舞い上がってる時もブチギレてる時も、変わらず僕を満たしてくれるこの曲には本当にいつもお世話になっています。
本当に愛しすぎて今後好きな曲を語る上で(ある意味)邪魔になりそうなので、ここらで魅力を語りきって殿堂入りしてもらおうという魂胆です。
やりたいこと自体は『たられば』を褒めまくった時に近いですかね??
・いつの曲?
2017年2月22日、新年一発目にリリースされた3rdシングル「命にふさわしい」に表題曲として収録されました。「NieR: Automata」というPS4ゲームとのコラボ楽曲です。タイアップではなくコラボなのがミソです。
[INFO] ニューシングル「命にふさわしい」詳細&アートワーク公開: 2月22日にリリースするNew Single「命にふさわしい」の詳細&アートワークを公開しました。 PS4ゲーム… https://t.co/5Tsa8V290A pic.twitter.com/RZntI7IS9Y
— amazarashi (@amazarashi_info) 2017年1月19日
ちなみに、このコラボが初めて発表されたのは、amazarashiの公式サイトなどではなく、ニーア発売前に行われた公式生放送内でした。
1:07:57〜 amazarashiコラボについて
youtu.be
その翌日にはCDJにて初披露されたらしく、昨日の今日で行われたサプライズに驚かれた方も多いのではないでしょうか。
本日は幕張メッセにてCOUNTDOWN JAPAN 16/17に出演します。
— amazarashi (@amazarashi_info) 2016年12月28日
amazarashiのライブはGALAXY STAGEにて12:00〜となります。
新グッズの販売もあり、どうぞお楽しみに。
[INFO] amazarashi、伝説のトラウマRPGの続編NieR:Automata とのコラボレーションプロジェクト「NieR:Automata meets amazarashi 」を発表: New… https://t.co/5Tsa8V290A pic.twitter.com/yIep8Q43zc
— amazarashi (@amazarashi_info) 2016年12月28日
ヨコオさんが特設サイトや生放送内でもコメントされていた通り、このコラボ、適当にそれっぽいのがくっついたタイアップではなく、お互いが「コラボしたい!」と思ってすごいスピードで完成させた絆の賜物でした。
ヨコオさんらが生放送内でおっしゃっていた“幕張のライブ”というのは、2016年10月15日に幕張メッセで行われた360°ライブ「虚無病」のことで、その数週間後には曲(命にふさわしい)が出来ていたとの事ですが、当時の秋田日記やスタッフ日記ではあまりダイレクトには匂わせていなかったようです。
シングルのリリース後、3月のベストアルバムにも12月の4thフルアルバムにも収録されたなかなか高待遇な曲でもあります。
もちろん、ライブでもあっという間に定番曲になりました。ツアーでは17年、18年、19年と三年連続でセトリ入りを果たしています。
なお、今年のCDJでは演奏されませんでしたね…。下半期は予測困難なセトリが続いていました。
・歌 詞 が 凄 す ぎ る
『たられば』『未来になれなかったあの夜に』など、歌詞のパワーが果てしない曲はメロディが単調になる傾向にあるはずなのですが、コイツは豊富な旋律を備えた上で歌詞もめちゃめちゃ煮詰まっている“やばい曲”でした。
リリース前、特設サイトで24時間限定公開された際にスクショした歌詞は今でも大事に保存しています。当時のサイトの雰囲気めっちゃカッコよかったんですよ。
好きな人ができた 確かに触れ合った
秋田さんと言えば“あの娘”とか“彼女”とか匂わせ大好きなはずなのに、急にウブで絶妙なこのラインですよ。ささやかな幸福感が良いんです。
アスファルトより土 鋼鉄より人肌
この対比のセンスは流石としか言いようがありません。英訳のやつは毎度脳裏をよぎりますが、本当に“命にふさわしい”表現だと思います。
無意識に選ぶのが 冷たさより温みなら
その汚れた顔こそ 命にふさわしい
「アスファルトより土 鋼鉄より人肌」に呼応して、なんと言いますか、素敵です。(語彙力)
身の程知らずと ののしった奴らの 身の程知らなさを 散々歌うのだ
「ざまぁみろって言ってやる為に 僕は立ち上がるんだ もう一度」を冷静に皮肉っぽく言い換えてるイメージです。
前に進む為に 理由が必要なら 怒りであれなんであれ 命にふさわしい
今度は『逃避行』の「僕等を走らせるならきっと何だっていい」でしょうか。報われない願いをくべて僕も頑張ろうと思います。
こぼれた涙を蒸発させる為に 日が照る朝を
飽きもせず こりもせず 待っている 待っている
涙を帳消しにするのが太陽、それが昇るのをひたすら待っている。同じくネガティブを象徴する“夜”を歌詞にせずとも、筋を通しまとめて払拭する。この発想は「鋼鉄より人肌」と並んで僕にとって衝撃的でした。
全部を無駄にした日から 僕は虎視眈々と描いてた 全部が報われる朝を
「描いて“た”」というのは英訳を読む限り現在完了進行形で、まだ報われた様子はありません。なのに、なんて希望に満ちたフレーズなんでしょう。サビへ向けて盛り上ってゆくメロディもそう感じさせるのを助長しています。
世界を滅ぼすに値する その温もりは
二人になれなかった 孤独と孤独では
このフレーズはゲームの世界と深く関係しているのでしょうか。ニーア未プレイの僕は「余程、温もりが大切だったんだなあ」としか分かっていない、というのが正直なところです。
じっくり読むと日本語の文法としてはヘンテコですが、言いたいこと自体はしっかり伝わってきて面白いですね。こういうゴリ押しこそ詩の醍醐味って感じがします。
道すがら何があった? 傷ついて笑うその癖は
そんなに悲しむことなんて無かったのにな
心さえなかったなら
これもまた、僕の好きなフレーズです。「そんなに悲しむことなんて無かったのにな」と、少し慰められたかと思いきや、「心さえなかったなら」という追い討ちのようなネタバラシが待っています。
こんなふうに、皮肉っぽい悲観的なフレーズでサビが終わって残る切なさがたまりません。
友達ができた 理想を分かち合った 向かうべき場所に 歩幅すら共にした
『この街で生きている』『ロングホープ・フィリア』など、表現は違えどamazarashiの2番には“友達”がよく登場するイメージがあります。今回は希望たっぷりで勇気を貰えますね。
裏切られたっていいと 道端ひれ伏すような 酩酊の夜明けこそ 命にふさわしい
はい出ました、amazarashiにおいて“友達”と切っても切れない要素、“酒”です。『雨男』『月が綺麗』での印象が強いですね。秋田さんのエゴは名曲の隠し味(?)
失くした何かの埋め合わせを 探してばかりいるけど
そうじゃなく 喪失も正解と言えるような
逆転劇を期待してる そしてそれは決して不可能じゃない
途絶えた足跡も旅路と呼べ
一行目なんて誰しも共感してしまうのではないでしょうか。「喪失も正解と言えるような逆転劇は決して不可能じゃない」…言うならばこんなの根拠の無い強がりに過ぎませんが、秋田さんの歌声の力強さと「途絶えた足跡も旅路と呼べ」というフレーズの美しさに思わず、また足跡残さなきゃなあという気にさせられます。この説得力はamazarashiでなければ叶わなかったのでは。
また、この激励は「それでも手を伸ばすからこその その傷跡を称え給え」に近しいものも。何が言いたいかというと『ロングホープ・フィリア』も良いよね。
世界を欺くに値する 僕らのこれまでは
一人になれなかった 寂しがりや共が集って
道すがら何があった? 傷つけて当然な顔してそんなに悲しむことなんて無かったのにな
心さえなかったなら
相変わらずニーア未プレイでは謎の深みしか感じられません。“欺く”や“傷つけて当然”など、心做しか1番よりも残酷に思えます。
愛した物を守りたい故に 壊してしまった数々
あっけなく打ち砕かれた 願いの数々
その破片を裸足で渡るような 次の一歩で滑落して
そこで死んでもいいと 思える一歩こそ
ただ、ただ、それこそが 命にふさわしい
最低な日々と最悪な夢の残骸の上を「それでも」と歩き続けたのに、報われぬまま奈落の底に落ちていくような踏んだり蹴ったりな展開ですが、それすら覚悟した上での「それでも」こそが“命にふさわしい”と。amazarashiの真骨頂ですね。
心を失くすのに値した その喪失は
喜びと悲しみは 引き換えじゃなかったはずだ
道すがら何があった? その答えこそ今の僕で希望なんて いとも容易く投げ捨てる事はできる
心さえなかったなら
Cメロの勢いで、決意を強く感じさせる希望あるフレーズが詰まっています。「喜びと悲しみは引き換えじゃなかったはずだ」ということだけは忘れずに生きたいですね。
そして、これまで絶望の切り札として歌われていた「心さえなかったなら」が、最後に裏返しの意味へと昇華されてしまいました。『穴を掘っている』の結末とも似ていますね。
どこを切り取ってもamazarashiらしいメッセージが詰まっているので、いつ聴いても何かしらが刺さるやばい曲なのです。
この辺からベストアルバム、武道館ライブ、未来になれなかったあの夜に、と集大成を思わせる色々が増えていきましたが、来年は一体どうなってしまうのでしょうか。
・ニーアをプレイしてから聴くと…?
他にも、歌声のザラつき具合やピアノ、ドラムの個性など僕が語れる魅力はたくさんあるのですが、そんな僕も「NieR: Automata」自体は全く遊んだことがないので、少なくともあと1回は変身を残しているということになります。なんと恐ろしい。
amazarashiにハマると引き換えに僕のゲーム欲は衰退してしまったので、今後プレイする可能性は限りなく低いのですが、その間ずっとモヤモヤを残しているのも事実です。なんせニーアは壮大なゲームっぽいので多大な時間を費やすことになりそうなのが厳しい…。
とりあえず興味のある方だけでも、ニーアを通してこの曲の真意を感じていただければと思います。(他力本願)
それでは皆さん、よいお年を。
P.S. ニーアオートマタやりました。
dalek-amz.hatenablog.com